こんにちはたけうちです。
部下に仕事を任せても上手くいかない会社の社長から相談を受けました。
社長は会社規模が大きくなってきて、自分で仕事を抱えられなくなり部下に任せる様になりました。しかし、「自分で現場をみていた時は起こらない、信じられない問題が発生する!」と社長は悩んでいました。実際、この社長は次のような悩みを抱えていました。
部下が巻き起こす!?信じられない10の問題
- 自分が対応すれば確実に受注できるはずの案件が消えた
- 重要商談を放置、顧客に怒られ、他社に仕事をとられた
- 顧客に提案しないで案件を放置し、失注した
- 自分だけでは対応できない案件を抱えて、手遅れになり失注した
- 案件を任せたら採算割れ、納期も遅れ、挙句に顧客とトラブルになった
- 現場管理を任せたら、自分では現場の仕事(実務)をしなくなった
- 仕事を任せても、仕事を達成しようという意識がなく細かく指示しないと駄目だ
- 現場スタッフの手余りを放置し、現場スタッフの仕事へのモラル低下した
- 仕事を任せても指示待ちで、結局、仕事が自分にブーメランしてくる
- 営業を担当に任せたため受注が落ち込み、社長と幹部で数字をかき集めた
社長はゼロから今日の会社までに大きくしてきました。経験したことが無い問題も、自分自身で創意工夫し、必死に切り抜けてきました。社長にすれば、このような問題が発生するのは何故なのか理解できませんでした。
このような悩みは会社が大きくなる過程でよく起こる問題で、この社長だけでなく多くの社長の共通の悩みですし、社長だけでなく、各部門を任されている幹部スタッフも同じような悩みを抱えています。
このような会社に見られる共通点
- 社長は会社の仕事を何から何までやってきた
- 幹部も社長と同じように仕事をやってきた
- 会社が大きくなってきて、社長や幹部だけでは限界に来ている
- 社長と幹部は阿吽の呼吸で仕事をしている
- 今まで起きなかった問題が、モグラ叩きのように発生する
- 仕事は社長と幹部に依存していて社長チームは抜群のパフォーマンスである
- 「仕事は盗んで覚えろ!」で、時代に合っていない
- 幹部はプロフェッショナルだが、人材を育てるのが苦手である
- 会社の組織運営は人に依存していて、業務プロセスは分かりにくい
- 会社のルールや規則などが未整備である
何故、今までは起こらなかった、信じられない問題が発生するのか?
会社が大きくなり、社長や幹部に依存した今までのやり方では会社運営のやり方が通用しなくなったからです。今までは社長と幹部による阿吽の呼吸での経営で大変上手くいっていましたが、ある規模を境に、突然にそのやり方では上手くいかなくなってきます。
そのような会社は、問題の後始末をするために社長と幹部は馬車馬のごとく必死で仕事をしているのではないでしょうか。そして、何とか頑張り手を子招いていると、例えるなら、おそらくA4の紙一枚の重さで組織は崩壊するでしょう。
どのようにして、このような問題を乗り切ればよいのか?
「人に仕事をつける組織から、仕事に人を付ける組織へと転換する」ことです。それは社長や幹部に依存していた仕事を、仕事の内容に対応した役割を担った人材で組織運営できるようにすることです。少なくとも次の3つの対応をする必要があります。
その1.業務機能と業務プロセスを標準化する
人に依存した仕事の進め方になっていて、担当者がいないと仕事がわからない状況になっているのではないでしょうか。できる担当者によって仕事の流儀が違うかもしれません。当たり前にやっていた仕事の内容とプロセスを明確にして、分かり易くすることです。できなければ、効率よく人に教えられませんし、マネジメントもできません。
その2.業務機能と業務プロセスに対応した組織体制にする
今までも仕事の役割に対応した組織が作られていたと思います。しかし、できる担当者に仕事を丸投げして任せていたのではないでしょうか。業務機能に対応した役割が明確であれば、その役割に合った人材に仕事を任せられます。各仕事のミッションが分かり易くなり、見える化されて、人材養成とマネジメントがやり易くなると思います。
その3.マネジメントの意味を理解し実践する
組織的にチームで仕事をやるようになると、マネジメントが重要になってきます。誰かがコントローラにならないと仕事に状況が見えなくなってきますし、仕事が進みません。中小企業ではマネジメント担当者は実務もこなさなければなりませんし、複数の仕事を掛け持ちすることになります。マネージャーは実務をこなしつつ、人を育てながら、リーダーシップを発揮して結果を出すマネジメントをする人を意味します。
このような悩みを抱えている会社は成長ステージの「足踏み期」に入ったと考えられます。「足踏み期」を「地固め期」と考えて、次のステージへ上がるための整備するのが定石です。まさに、個人経営から組織経営へ転換するタイミングなのです。
尚、社長はこれらの悩みに対応していくと、現在のビジネスモデルをハッキリと認識され、会社の将来像が見えてくると思います。
(神楽坂コンサルティング株式会社 社長の相談役®︎ 竹内一郎)