こんにちはたけうちです。
営業スタッフを営業に抜擢して、営業として育成しようとしている技術会社の社長から相談を受けました。
社長は「社内の若手を営業に抜擢したが上手く行かない!」と悩んでいました
社長は営業ができる人材を募集しても良い人材に巡り会えないので、営業に向いていそうな社内の技術出身の若手人材を営業担当にしました。しかし、社長は次のような悩みを抱えていました。
- 顧客に対して提案できない
- 引き合い案件の営業ヒアリングができない
- 商談をクロージングするシナリオが描けない
- 顧客のフォローができない
- 顧客の新規開拓ができない
- 受注しようとする意気込みが感じられない
- 予算達成に対する意識がない
- パソコンに向かっていて客先に行かない
- 営業マネジメントが上手く行かない
- 商談が見えなくなり、商談管理が上手くできない
社長は営業経験がなくても自分で考えて何とかやってくれると思って抜擢したのですが、社長が思うようにはできなかったのです。社長は営業未経験で営業をやってきました。
ですから、自分と同じように、営業未経験者でも営業に抜擢すれば営業ができるようになると考えたわけです。これは無謀な試みでした。このようなことは多くの社長が多かれ少なかれ経験されている共通の悩みです。
このような会社に見られる共通点
- 技術出身の社長が営業をやっている
- 会社が大きくなってきて、社長の営業だけでは限界に来ている
- 営業はある程度の技術的なヒアリングができなければならない
- 問題解決型の提案をしなければならない
- 営業だけでは見積もりができない
- 待ちの営業で案件が来るのを待っている
- そもそも営業の基本を知らない
- 商談管理の方法を知らない
- 会社は営業を技術より下に見ている
- 社長はマーケティングと営業活動を混同している
- 営業が概算価格を見積もれるようになっていない
- 案件ごとに積算するので、プライスリストや販促ツールがない
- 販売計画はあるようでない
若手人材の抜擢が何故上手く行かないのか?
このような技術提案をしなければならない会社の場合、営業と技術がわかる人しか営業はできません。抜擢する場合は技術が分かり、顧客の潜在的、顕在的な問題課題を見抜き、顧客が納得できる提案をしなければなりません。
そういうことに向いている若手社員であれば、提案営業のやり方を覚えれば戦力になっていく可能性はあります。若手社員がそういうタイプでなければ、技術提案できるエンジニアとペアを組めば何とかなるかもしれません。
また、社長自身がやってきた営業は部下がやる営業とは大きな違いがあります。それはその場で提案することができ、リスクがあっても決済もできます。しかし、部下にはその力量はありませんし、その権限もありません。顧客とのやり取りにはキレがなくなりますので、失注する確率が高くなります。
いづれにしても、営業担当者は営業のやり方を覚えなければなりません。
どのようにこの問題を乗り切ったのか?
この会社の場合は、運よく知り合いに現役時代にシステム営業で鳴らした人物がいて、時間はかかりましたが、この人物の指導で社長営業から営業組織へ転換することができました。
会社が大きくなってくると社長だけの営業では会社は回らなくなります。このタイミングは社長の営業から組織でやる営業に転換しなければなりません。
しかし、今までの社長営業のやり方が通用しなくなることを忘れてはいけません。営業組織を作るためにベテラン営業を中途採用するのが一見、近道のようですが上手く行く確率は極めて低く、自前で育てるのが得策です。指導できる人材を見つけ、若手を育成して営業を強化する方が現実的ではないかと思っています。
(神楽坂コンサルティング株式会社 社長の相談役®︎ 竹内一郎)