こんにちはたけうちです。
黒字なのに資金が足りないという社長から相談を受けました。
社長は「毎月黒字なのに資金が足りない」と悩んでいました
社長は黒字なら、銀行から借り入れをしなくても大丈夫だと思っていました。しかし、儲かっている割には、資金が無く、実感と違うと感じるのです。返済どころか借り換えをして資金を調達していました。次のような悩みを抱えていたのです。
- 売上が上がっているのに、売上に見合った資金がない
- 大きな買掛金の支払は資金が足りるか気をもむ
- ボーナスは資金調達しないと支給できない
- 月々の運転資金はギリギリで気が抜けない
- 予定していた売掛金の入金が遅れると肝を冷やす
- 消費税の支払も分納にしようかと悩む時がある
- 資金が足りなくなって個人資金を会社に貸している
- 社長(自分)の貸付金を返してもらいたいが、返す資金が無い
この社長は儲かっているのに何故資金が足りないのだろうと悩んでいますが、これはこの社長だけの特別な悩みではありません。多くの社長が同じように感じているのです。
黒字なのに資金が足りない会社の10の共通点
- 売上と資金繰りは全く違うものだということを認識してない
- 売掛金を分割で回収していない
- 買掛金の支払が先で売掛金の入金が後になっている
- 過剰に在庫を抱えている
- 売上に対して仕入外注費の比率が高い
- 比較的大きな設備投資を行っている
- 毎月の借入金の返済が大きい
- 退職金の支払いをしている
- 本業に直ぐに貢献しない投資をしている
- 関連会社に資金を貸付している
この会社の原因は次のようなことでした。
1.資金繰り表がありませんでした
資金繰り表がないので社長の感ピュータで資金繰りをやっていました。会社はどんぶり経営だったのです。会社が大きくなり、運転資金などの資金需要が大きくなり、社長の感ピュータは限界に来ていたのです。
2.売上と資金は別物だという意識が無かった
売上が上がれば儲かり資金があると勘違いしていた。損益と資金繰りは全く別物であることの認識が無かったのです。例えば、設備投資の支払を一括でしても損金計上は減価償却分だけなのです。
3.支払が入金より先になっていた
売掛金の入金サイトより買掛金の支払サイトが短かったのです。入金が入る前に支払が発生して、資金繰りを悪くしていたのです。
4.大きな受注でも入金は一括で検収後になっていた
設計製造に着手し平均的に3ヶ月後が納期でした。支払サイトは納入検収後末締め翌々10日現金支払いという条件でした。しかし、大きな案件でも同じでした。嬉しいことですが、資金繰りを大変にしていたのです。
5.問題ある大口取引先がありました
ある大口取引先の発注が遅れ、受注が大きくスリップして手余りが発生していました。 更に、入金が先方の都合で遅延することが時々ありました。これらは資金繰り/損益をとても不安定にしていました。
6.仕入機材を在庫として抱えていた
まとめて材料/仕入機材を調達していました。納期の関係から受注が確定する前に見込みで発注することもありました。買掛金の支払が製品になってから納品検収回収までのタイムラグが資金繰りを悪くしていました。
まとめ
この会社は資金繰りの基本的なことを改善することにより、資金を効率帝に活用できるようになりました。
この会社の資金繰りを悪くしている原因は基本的なことでした。入金を分割にしたり、仕入の発注を発注出来てからに変更したり、在庫を圧縮したりしました。幸いなことに、納期遅れによる検収おくれとか、仕様変更への無償対応とかは見られませんでした。
しかしながら、大口取引先からの入金がブレル問題は残りました。課題として新しい取引先を開拓し、現在依存している大口取引先のリスクを軽減する必要があります。
ところで、お読みになっている皆様は「そんなことは当たり前のことでしょう!」と思われるかもしれませんが、これはこの会社だけの問題ではありません。多かれ少なかれ、多くの受注系のビジネスを展開している会社は同様の問題を抱えています。現場に開発や仕入の裁量を任せている会社ではこの手のリスクが高くなっています。社長は気がつかれてないかもしれませんが・・・。
(神楽坂コンサルティング株式会社 社長の相談役 竹内一郎)