こんにちは、たけうちです。
新しい取引先を開拓したいと製造会社の社長から相談を受けました。
社長は「新規開拓で1社依存体質から脱却しなければ!」と悩んでいました
お話をお聞きすると、会社は先代から大手取引先1社に大きく依存していて、最近、受注量が頭打ちになり、社長は先行きをとても不安に感じていました。社長は急いで、新しい取引先を開拓しなければ会社が危ないと焦っていました。しかし、実際にどうやったら新規開拓ができるのかと、気ばかり焦って、次のような悩みでマイナス思考になっていました。
- 新しい顧客をどうやって見つけたらよいのかわからない
- どういう会社にアプローチすればよいのかがわからない
- 仕事に自信はあるがこれといった特徴がない
- いわれた仕事をやってきただけなのでこちらから提案できない
- 新規開拓の営業経験はないし
下請け製造業では今まで大手取引先から安定的に仕事が来ていましたが、ある日を境に仕事が少なくなり、手を子招いているうちに会社を続けられなくなるというケースは沢山あります。
しかし、この会社の社長は仕事があるうちに、新たな取引先を開拓しようと思い悩んでいるのです。これはこの会社の社長だけの問題ではありません。日本の下請け製造企業が抱えている共通の経営課題です。
このような下請け体質の会社によく見られる10の共通点
- 売上は数社の大口取引先に依存している
- 大手企業からの下請け企業に甘んじている
- 大手企業との取引に安心している
- 下請け企業としての戦略的な考えを持っていない
- 請負開発、請負製造、技術サービス等でビジネスをしている
- 自社の製品や技術で市場開拓をしたことがない
- 受身の営業で新規開拓は引き合いがあったとき以外は行っていない
- 営業は特定顧客より依頼があってから受注活動をおこなっている
- 会社の営業でなく発注元の購買になっている営業がみられる
- 発注元に仕事が振り回される傾向にある
このような会社は今まで大手企業の協力会社(下請け企業)として、営業やマーケティングをやる必要がありませんでした。しかしながら、会社を取り巻く環境(外部環境)が大きく変化して、安閑とはしてはいられません。上記のような企業体質では時代の変化が激しい時代では適応できず生き残っていけないことは明白です。
直ぐにできる!新規開拓のやり方
その1.先ず、自社の価値を棚卸する
顧客が頼みたくなる自社の価値を自覚する必要があります。今まで当たり前にやってきたことが自社の大きなアドバンテージになることはよくあることです。できれば、自社の価値を体系的に可視化できればベストです。
その2.自社のプレゼン資料を準備する
自社の価値がわかる会社案内を準備することです。売り込み先のお客様に「何でも対応します」と言うのは禁句です。少なくとも、自社の価値がお客様の求めることに応え、悩みを解決でき、お願いしても大丈夫であることをプレゼンできなければなりません。
その3.見込み客へアプローチする
新規開拓は以下の方法が考えられます。速攻は①③④です。
① 今の顧客の他事業部へアプローチする。しかし、これは本来の新規顧客開拓ではない。
② 今の顧客と同じ悩みを持つ(ニーズがある)と思われる会社へアタックする。
③ 過去に取引があった顧客(休眠顧客)へアタックする。
④ 過去に問い合わせがあった会社(リード)へアプローチする。
⑤ 棚卸した自社の価値を必要とすると思われる会社へアプローチする。この方法が新しいマーケット(市場)になります。
又上記①③④は過去の名刺や問合せリストからアプローチ先がわかるでしょう。
上記②の会社は聞いたことがある会社ではないかと思います。又ニアミスしている可能性もあるのではないでしょうか。
上記⑤は全くの新規開拓になるのではないでしょうか。これは人脈の活用や、WEBからの問い合わせ等が有効です。
おそらく、訪問するだけで、手応えを感じると思います。
その4.WEBマーケティングを強化する
自社の価値を求める未来の顧客を想定し、WEBサイトをリニューアルして、反響があったら訪問してニーズを確認していくと、いろいろなことが見えてくるはずです。時間はかかるかもしれませんが、未来の顧客が見え、縁ができると思います。
尚、自社の価値がわかれば、展示会に出展したり、金融機関のイベントやマッチングイベントに参加したり、ニュースリリースしたりすることも可能になり、効果があると思います。
新規開拓を効果的に実践する為の6つの留意点
- 将来有望な会社にアプローチする
- 市場を持っている会社へアプローチする
- 安易に自社と同じ立ち位置の会社にアプローチしない
- 現行取引先との関係を念頭に置きながらアプローチ先を決める
- 売掛金が回収にリスクがある会社にアプローチしない(与信に気をつける)
- 初めての仕事はロスが多いことを念頭に置く
新規開拓は成功したのか?
この会社の社長は早速に疎遠になっていた休眠顧客と今まで問い合わせがあった顧客に訪問したところ、思いのほか反応が良く、引合いを頂けるようになりました。今まで何もしないで悩んでいたことに自分で呆れてしまったそうです。
このように、出来るところから新規開拓を実践しただけでも案件が出てくるのです。これから、戦略的に自社の価値を求める顧客へビジネスモデルを考えながら展開できるようになれば、素晴らしい会社になるのではと思います。
(神楽坂コンサルティング株式会社 社長の相談役 竹内一郎)